総製作費60億円を投じ、浦沢直樹の大ヒット漫画を3部作で映画化する『20世紀少年』の製作発表が11日(日)、東京・成城の東宝スタジオで行われた。
■唐沢「裏切らない。期待して」
主人公ケンヂ役の唐沢寿明をはじめ豊川悦司、常盤貴子、黒木瞳、香川照之、石塚英彦、宇梶剛士、佐々木蔵之介とそうそうたる顔ぶれが勢ぞろい。さらに中村嘉葎雄、石橋蓮司、佐野史郎ら実力派のベテラン陣が脇を固め、主要な出演者だけでも300人に及ぶまさにオールスター・キャストだ。
堤幸彦監督も「多分、一生に2度と訪れることのない大きなチャンス」と恐縮しきり。「最高のキャストとスタッフで、気を緩めることなく、ファンも、原作を読んだことのない人にも喜んでもらえるよう頑張ります」と気を引き締めた。
ケンヂたちが小学生のときに作った「よげんの書」の内容が、30年後の世紀末に「ともだち」と呼ばれる教祖が率いる謎の教団によって現実となっていく。ケンヂはテロリストの汚名を着せられながらも、幼なじみらと「ともだち」を倒し人類滅亡の危機を救うために戦う壮大な冒険譚だ。
■豊川「俳優としてのさらなる飛躍に」
現在は、2000年12月31日の「血の大みそか事件」までを描く第1章と、その14年後から始まる第2章を同時進行で撮影中。唐沢は「ずっとワクワクするような展開で、ファンを裏切らない面白い作品だと心から思っている。期待してください」と頼もしい。
会見前に香川が、「引退を懸けよう」と呼びかけたことも明かしたが、「僕は賛成しかねる」と即却下。豊川も「そのつもりは全くない。全部を成功させて、俳優としてのさらなる飛躍の第一歩にしたい。自分の人生のなかにきちんと残る作品にしたい」とけんもほろろだ。
これには、さすがの香川もあっさり前言撤回。「本気じゃないと立ち向かえない現場。負けるわけにはいきません」と意欲を語った。
■常盤「ワクワクする日々の撮影」
ケンヂのグループで紅一点となる常盤は「撮っても撮っても終わらないのが苦にならない。ワクワクする日々をおくっています」と充実した様子の笑顔。ケンヂの姉キリコ役の黒木は「原作は、全巻積んで読み始めたらやめられなくなった。何度も読んで、イメージから離れないようにしています」と話した。
また映画版では、物語のカギを握る「ともだち」に関し、原作とは違う新解釈が盛り込まれているという。だが、「答えは3部作のなかにあります」(堤)、「そこに至るまでが楽しみですので、一緒に楽しみましょう」(浦沢)と含みをもたせた。
原作は1999〜2007年に「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載され、単行本は2000万部を超える大ベストセラー。ドイツ、フランス、韓国、スペインなど世界12の国と地域でも翻訳されており、既に昨年のアメリカン・フィルム・マーケット(AFM)で34の国と地域の42社から配給オファーが届いた。
アジア主要国で公開決定、カンヌで欧米にもセールス
製作委員会の幹事会社・日本テレビによれば、韓国、香港、タイ、台湾、シンガポール、マレーシアなどアジアの主要国では公開が決定。14日に開幕するカンヌ映画祭で欧米を中心にセールスを本格化させる意向で、「恐らく日本映画史上、最高額で売れると思います」と自信を見せている。
公開は第1章が8月30日(土)、第2章は09年新春を予定している。第3章は8月中旬にクランク・インし、来秋に公開される予定だ。

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