テレビアニメを長年支えてきた、透明フィルムに手で描く「セル画」が近々姿を消しそうだ。
コンピューターによる制作が主流になり、いまやセル画によるテレビアニメは放送39年目の「サザエさん」(フジ系)だけ。
地上デジタルハイビジョン放送への移行も控え、風前のともしびだ。
従来のテレビアニメは、セル画を重ねて撮影し、制作されるものだったが、「ちびまる子ちゃん」(フジ系)が99年に、「ドラえもん」(テレビ朝日系)が02年にコンピューターによる制作に変わるなど、残るはサザエさんのみになった。
サザエさんを制作するエイケン(東京都荒川区)はセル画にこだわり続ける。
田中洋一部長は「セル画の映像は微妙に線が揺れ、温かみのある画像になる。それが視聴者に安心感を与える」。
1話で約1400枚のセル画を使い撮影される。
フィルムを回す過程でも微妙な揺れが生じ、味わいを深めるという。
ハイビジョン映像は精細な映像を表現できる半面、セル画との相性は良くない。静電気で付いたチリが見えたり、厚みによる影で輪郭がぼやけたり、色のばらつきが見えたりするという。
田中さんは「視聴者からサザエさんは他に比べ映像がきたないと苦情が来れば、セル画を断念せざるをえない」という。
さらに業界のデジタル化の中で、セル画を描ける人材も高齢化し、不足気味だ。
サザエさんを制作するのはエイケンなど3、4社。約120人が携わるが、国内でまかなえず、全体の20〜30%は中国で描かれている。
手描きセル画の風合いは味がある反面、労力や人件費がかかるのも現実。
これも効率化を図る、時代の波ということでしょうか?
それでもセル画の味に拘るエイケンには惜しみない拍手を送りたいものです。
是非ともアニメ業界を支えてきた文化の一つを退廃させない様に、頑張って戴きたいですね(^-^)
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